古代では、人が亡くなったときの「お見送りの儀式」はとてもシンプルなものでした。

儀式の後、土葬(地域によっては風葬など)が行われていましたが、日本の近代化にともない「火葬」が一般的となりました。


時を経たその後も経済面や個人事情から、葬送のスタイルは時代に応じて多様化し、さまざまなスタイルの「お葬式」が生まれてきました。

いま、その中でも「家族葬」(家庭葬、身内葬などとも言う)というお見送りの形が注目を集めています。


葬儀は「人の死」を扱うことから、家々が密着して存在する地域型共同体としての体裁の中で執り行われてきた「儀式」でした。

「家族葬」はその体裁や宗教からも離れ、故人と遺族中心で行われる、今までの日本の葬儀とは画期的に異なる葬儀スタイルとなっています。


この「家族葬」は、どのような社会背景の中で生まれてきたのでしょう。

「家族葬」とは、どのように行われるお葬式で、その特徴はどういったものなのでしょうか。

また、参列する時に気を付けるマナーは?従来の葬儀とはどこが違うのでしょうか。


現代の社会においては、まだ新しい葬送の形「家族葬」。

そのお見送りの形を、メリット・デメリットとともにご紹介します。


-- この記事の目次 --

1.いま注目の「家族葬」とは?

2.一般葬と何が違うの?「家族葬」の内容とは

3.「家族葬」で注意すべきこと

4.「家族葬」の流れをご紹介!

5.「家族葬」の3つのメリットとは?

6.「家族葬」の4つのデメリットとは?

7.「家族葬」に対するマナー

8.まとめ

1.いま注目の「家族葬」とは?


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参列者の多い一般葬ではなく、もっとこじんまりと見送ることはできないか、という遺族の声が高まる中で、それに対応した葬儀プラン「家族や故人の親しい関係者、友人など少人数を中心で行うお見送り」として「家族葬」という葬儀の形が生まれました。

まだ新しいスタイルであり、業者によってプランはさまざまあるものの「家族葬」として正式に決められた様式は特にありません。

自由度も高く、見送る側が「無宗教葬」など葬送の形を選ぶこともできます。

「家族葬」では、故人の、または家族の意思が第一に尊重されます。

1-1.なぜ「家族葬」が注目されるのか?

基本的な葬儀の流れは「一般葬儀」と似た形になりますが、「家族」という言葉が意味するように、もっとも故人に近しい人だけのお見送りというところに深い意味があります。

つまりこの葬送の形は「家族と故人とのお別れ」をメインにするために、「遺族の意思により参列する方を限定した」お見送りという大きなな特徴を持っているのです。

「参列者を限定する」という葬送の形は、今までの日本にはなかった形です。

このような葬送の形が求められるようになったのはどうしてでしょうか。

 

1-2.なぜ「家族葬」が選ばれるのか?

「家族葬」が選ばれるようになったのは、社会的には少子高齢化社会・近所のお付き合い(地縁)が薄れている・核家族化の影響(血縁の希薄化)、そして価値観が現代では多様化しているなどが考えられますが、それらを背景として「家族葬」を選ぶ家族にもさまざまな個人的事情、状況が見受けられます。

「形式的な葬儀より、家族や近しい人たちだけで、その想いを共有したい」(義理的なおつきあいは避けたい)という精神的な理由の他に、「葬儀のボリュームを抑えることで葬儀費用を軽減したい(葬儀にお金をかけたくない)」という経済的な理由もみられます。

「家族葬」は儀式的には「一般葬」の小型版とも言えます。

参列者を限定するだけで、セレモニーの流れ(通夜~葬儀~火葬)は「一般葬」と同じように行われ、なおかつ低価格なところが消費者に評価されていると考えられます。

1-3.遺族の強い「意志表示」を尊重しよう!

経済的・精神的どのような理由があるにしても、「家族葬」という葬儀のかたちを選ぶのは「近親者で故人をゆっくりとお見送りしたい」という家族の強い意思表示であるということです。

しかしこの葬儀のかたちについては、まだ周りがその対応に慣れていない状況、トラブルが見受けられます。

「家族葬」を選んだ現場では、どのようなことが起こっているのでしょうか?   では、「家族葬」は一般的な葬儀とどう違うのか、「家族葬」とはどういう葬儀なのかを詳しくご紹介したいと思います。

2.一般葬と何が違うの?「家族葬」の内容とは


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「家族葬」とは、様式や宗教という形式にこだわらず、故人と家族(近親者)とのゆっくりしたお別れを最優先するために「参列する方を限定した」お見送り。

とは言え、日本では葬送の様式としてはまだそれほど浸透していません。

なぜなら、今までのお葬式の常識や習慣では「訃報を聞いたらまずはお参りさせてもらう・ご焼香させていただく」というのが今までの日本では当たり前のことだったからです。

この「当たり前」な習慣は日本人の気質に深く根ざしており、なかなか変わらないのではないでしょうか。

つまり「家族葬」の特徴である「参列者を限定」(つまり「参列を断る」)という部分は、日本の葬送の歴史においてはあり得ない、画期的なことだったのです。

 

2-1.「一般葬」との3つの大きな違いとは?

「家族葬」と「一般葬」は大きな違いが3つあります。

〇参列者の人数の違い

「家族葬」は参列者を限定するため、見た目で最も違うのは人数(参列者数)で、「一般葬」に比べて圧倒的に少ない人数となっています。

〇参列者と故人の関係性の違い

「一般葬」は義理や近隣、という方も含め、訃報を受け取った人が全て参列することができるため、代理の参列や遺族が初対面の場合などもありますが、「家族葬」は参列者全員が親しい「身内」、顔見知りです。

よって葬儀会場に受付が必要ありません。

香典や供花も辞退すれば、気遣いもなくとてもシンプルな葬儀となります。

〇気持ちの大きな違い

「一般葬」では社会的儀礼に重きが置かれて「おもてなし」や「気遣い」が発生しますが、「家族葬」では故人と家族のお別れに最も重きが置かれ、儀礼的な進行に縛られることもなく、非常にフランクで落ち着いたセレモニーが可能となっています。

また葬儀会場では、椅子で棺を取り囲むように座る配置のスタイルなどもみられます。

「ゆっくりとしたお別れ」を重要視するので、まるで故人を囲んだ懇談会のような場になることもあります。

このように、お見送りの気持ちが違うので、様式も普通のお葬式とは違う形になり得るのです。

では、「家族葬」にはどのようなプランがあるのでしょうか?  

2-2.「家族葬」3つの葬儀プラン

各葬儀事業者は、消費者のニーズに応えてそれぞれの工夫を凝らした「家族葬プラン」を出しており、ボリュームや内容により金額が異っています。

自分達がどんな「家族葬」を行いたいのかを明確に伝えて、プランを選ぶようにしましょう。

〇一般的な「家族葬」

一般葬に準じたお葬式を少人数で行うプラン。

一般葬の小型版として通夜~告別式~火葬を行います。

〇「一日葬」

上記の「家族葬」から通夜を省略したプランです。

〇「火葬式(直葬)」

上記の「家族葬」から通夜、告別式を省略したプランで、納棺してのち、そのまま火葬となるシンプルな形です。

このようなプランがあることから、「一般葬」に比べて「家族葬」は安いというイメージが先行しています。

ところが、必ずしもそうならないことがあり、トラブルが起こることもあります。

 

2-3.「家族葬」は本当に安いのか?

「家族葬」は参列者が少ない=葬儀のボリュームが小さいというところから、そこだけをみれば確かに「一般葬」よりは低価格かもしれません。

実際にとても安い金額のプラン提示をしている業者も多くみられます。

参列者が少ないので安いという思い込みがちですが、中身をしっかり確認しないとオプションなどで追加料金が発生するなどのトラブルも頻発しています。

見積金額の中に何が含まれ何が含まれていないのかの確認と、自分達が行いたい葬儀のスタイルをはっきり伝えて、可能な限り複数社の見積を取るようにしましょう。

また、上記でご紹介した基本的な「家族葬」プランに対してオプションがいろいろ用意されており、選択していけば規模の小さな「家族葬」であっても高額になることがあります。

3.「家族葬」で注意すべきこと


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「家族葬」という葬送の形が新しいため、人それぞれで解釈が違うことにより行き違いやトラブルが起こっています。

それは主に「知らされなかった」「参列できなかった」という哀しい思いにあるようです。

葬儀はやり直すことができません。

故人にもお世話になった方、義理の深い方も多くおられるでしょう。

けれど「家族葬」という方法を選んだ以上は、参列者の選別をしなくてはなりません。

「参列に呼ばれなかった」故人の関係者に礼を欠くことのないよう、後日の対応などで十分気を配ることが大切です。

 

3-1.周囲の理解を得ることが重要

〇後悔しないために

「家族葬」は「参列者を限定」します。

基本は家族ですが、例えば親戚筋などどこまで声掛けすればいいのか、ましてや友人など関係者になると線引きはますます難しくなります。

誰に連絡をすればいいのかは大きな問題ですから、故人の交友関係も含め、その範囲を前もって決めて置くとスムーズに進みます。

リストアップして家族で確認・話し合いをして決定していきましょう。

まだ「家族葬」の認識は十分に定着していないことから、理解を得る努力も必要です。

「家族葬」であることを関係者・親戚筋や近隣に伝え、参列は不要であること、そして弔電や香典等のお供えを辞退するのであれば、その旨もはっきりと伝えなければいけません。

またケースによっては、最初から訃報を限定し、四十九日の法要後に案内状でお知らせすることもあります。

どちらの場合も、参列をお断りした方について、また訃報をお届けしなかった方について、失礼にならないように礼を尽くす必要があります。

 

3-2.葬儀社選びと見積のチェック3項目

近年注目されている「家族葬」は、多くの葬儀業者が多様なプランを用意しています。

参列者の人数が少ない分、一般葬と比べては安くできるのですが、内容を確認せず「低価格をうたう家族葬パック」を選んで失敗したトラブルも実際に起こっています。

一般的な葬儀に比べて「家族葬」はどうなるのか、家族の希望する形と、提示されたプランに何が含まれているのかなど、見積の明細をしっかり把握することが重要です。

〇見積の基本~必ずチェックしなくてはいけない3つの項目

・式場費

どんな会場で葬儀を行うのかは最大のポイントです。

場所によって会場費は大きく変化しますから、葬儀場所を決めて見積を取りましょう。

会場としては、一般的な葬儀会場(セレモニーホール)・自宅・集会所など公共の場所・菩提寺などの寺院等が考えられます。

・参列の人数に関わる費用

参列者数が増えるとそれに連動して会場費(控え室の使用や飲食、返礼品など)経費(移動のための車両費)なども変わってきます。

基本単価が変わる場合もあるので、何人まで以上・以下のように区切って見積もってもらいましょう。

・宗教関係の費用

仏式で言えば僧侶関係の費用(読経料などのお布施、戒名など)ですが、「家族葬」の中では、無宗教で行う方も増えています。

以上を注意しながら、プランの内容をチェックしましょう。

可能であれば複数の業者から見積を取り比較することをお勧めします。

 

3-3.参列しない方への配慮が重要

特に地域社会において、自宅で「家族葬」を行う場合は注意が必要です。

隣近所への訃報(回覧等)を伝えるとともに「家族葬であること」、場合によっては「香典などお供えや弔電の辞退」などを明記します。

また地域外の他の関係者(会社など)に対しても、訃報とともに同様に記載し、遺族の意向を伝えるようにします。

「参列をお断り」するわけですから、「家族葬」を選んだ理由、その気持ち、決意をしっかりと伝える文面であることが重要です。

 

3-4.葬儀後の挨拶状(報告とお詫び)

「家族葬」を行うために訃報を制限し、葬儀後にあいさつ状を出す場合には、訃報と共に「家族葬で葬儀を行ったこと」(その理由など)のお知らせとお詫びと共に、お供えの辞退も合わせて書き添えておきます。

しかし葬儀後ということもあり、お参りの希望やお供え物に対応しなければならないこともあるでしょう。

いただいた場合は、四十九日法要のあとでご挨拶とお返しを忘れないようにしましょう。

後日の訃報については、葬儀に参列できなかったという哀しい気持ちから叱責などを受けることもあります。

この場合も、先方のお気持ちを汲みながら失礼のないように対応しましょう。

4.「家族葬」の流れをご紹介!


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「家族葬」と言っても特別な様式はありません。

参列者が少なくても、通夜から告別式の流れは一般葬と同じです。

ここでは一般的な仏式の「家族葬」の流れ(一例)をご紹介します。

 

4-1.亡くなってから納棺までの流れ

〇手続き

必要な書類は死亡診断書、死亡届、火葬許可書などです。

これはどんな葬儀の場合でも変わりなく必要な書類となっています。

〇葬儀業者との打ち合わせ~見積

「家族葬」を選んだ場合は、どのような葬儀内容やボリュームにするのかを葬儀業者を打ち合わせます。

ここで一番大切なことは、故人の遺志、そして遺族の気持ちです。

スタイルが決まったら見積を確認し、その後の進行手順をチェックします。

〇安置

病院での処置のあと、葬儀業者に連絡し安置の手配を行います。

火葬と葬儀を行う場が決まっている場合はそちらへ遺体を安置します。

(葬儀を行う場:葬儀会場、自宅、集会所、寺院など)

「家族葬」を自宅で執り行う場合は、ご遺体を搬入する際の寝台車を別の車両に変更したり、また搬入時間を夜分や朝早めにするなどで近隣に知られないようにできます。

決まっていない場合、会場の決定に時間がかかりそうな場合、火葬場の予約が取れない場合などでは、まずは安置施設へ搬入することになります。

どのような場合でも、遺体は法律により火葬まで24時間以上の安置が定められています。

〇納棺の儀式

故人を棺に納める儀式を行います。

もちろん遺族も参加することができます。

お棺、布団や仏衣が必要ですが、仏衣の代わりに普段の洋服などでもかまいません。

 

4-2.訃報、葬儀の案内で注意すること!

「家族葬」の場合は参列者を限定するため、訃報については「参列のお断り」を明記しお知らせすることになります。

一般関係者には訃報と共に「家族葬」であることを伝えますが、親戚など近しい身内には余裕があれば直接、または電話連絡などで説明をすることで少しでも理解をしてもらえるよう努力しましょう。

また、訃報自体を制限する(知らせない)方法もありますが、その場合は、後日に(四十九日法要後など)案内状等でお知らせ(お詫びと説明)をすることになります。

 

4-3.別れの儀式(通夜)

〇通夜の進行について

・式場着席

・僧侶の読経

・焼香

・場合により通夜ぶるまいなど(地域や状況により変化)

「家族葬」の場合も一般的な通夜の流れと変わりはありません。

ただ、参列者を限定しているため人数が少なく、家族や関係者がゆっくり語り合ったりする時間が十分に取れます。

また、通夜が行われない場合もあります。

 

4-4.別れの儀式(告別式)

〇告別式の進行について

・式場着席

・僧侶の読経

・弔辞やお別れの言葉、弔電など

・焼香

・お別れ

・喪主挨拶

告別式も、一般葬と大きく変わりはありませんが、身内中心のため、弔辞などのお別れの言葉や、喪主の挨拶などは省かれることもあります。

また様式は地域によっても異なることがありますが、基本的に形式ばった進行ではなく、故人と家族のお別れを尊重して進行されます。

 

4-4.火葬~初七日法要

〇火葬~拾骨

火葬場が別の場所にある場合は、寝台車で搬送し、参列者も移動します。

火葬後(数時間後)拾骨を行います。

〇初七日法要

拾骨後、初七日の法要を執り行います。

・僧侶の読経

・焼香

・僧侶の法話(場合により)  

〇精進落とし


故人を偲びつつ会食などを行います。(省略される場合もあります)  

4-5.忌明け四十九日法要~納骨

〇四十九日法要

仏教では、魂は亡くなったあと7週間(49日)後に極楽浄土、つまり仏のもとへ向かうとされており、そのため49日目に重要な法要を行います。

49日目より早いのはかまいませんが、過ぎるのは「極楽浄土への旅立ちを待たせる」ことになるので避けます。

「忌明け四十九日法要」では、僧侶をお招きし読経をあげていただきます。

菩提寺があればそちらを、ない場合は自宅、葬儀会場などを利用します。

葬儀後に日程を決めて早めに準備しましょう。

また、納骨するお墓の準備ができている場合は、同時に「納骨法要」も行います。

〇納骨について

納骨は、従来では先祖代々のお墓に納骨するケースが多くみられましたが、最近ではこちらも多様化しています。

お墓を建立することについては土地の問題や費用、墓守の問題などがあり、納骨堂へ納め永代供養を申し込まれる方が増加する一方、お墓を持たない選択(いわゆる「散骨」など)を選ぶ方も増えています。

散骨も海洋や樹木など自然に還るという良いイメージのものがあり、遺族の気持ちの一区切りと、「散骨式」などセレモニーとしても受け入れられています。

5.「家族葬」の3つのメリットとは?


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「家族葬」とは、簡単にまとめると、このようなお葬式の形です。

〇参列者をごく近しい者に限定することで、ゆっくりとしたお別れを行うことができる

〇葬儀の形も宗教様式に囚われず自由にできる

〇参列者が少ないためその分の経費を抑えることができ、一般葬より低価格でできる

では、以上を含めそのメリットを詳しくチェックしてみましょう。

 

5-1.最後のお別れをゆっくりと!参列者への気遣いがない

参列者を限定したことにより人数が少なく、一般的参列者がいないため気遣いの必要がありません。

そのため、気持ちの負担が少なくなり、最期のお別れの時間を親しい人たちとゆっくりと過ごすことができます。

 

5-2.予算の変動が少ない

参列者の数があらかじめ決まっている(わかっている)ために、予算が把握しやすく、また最初にたてた予算からの変動があまりありません。

経費面においては、一般参列者へのおもてなしがないため、受付・返礼品・会食等の用意がない場合が多く、その分費用が少なくてすみます。

 

5-3.心のこもった葬儀ができる

「家族葬」には決まった形がなく、家族が故人と最期のお別れをするための儀式ですから、仏式など宗教様式に囚われることなく相応しいスタイルを選ぶこともできます。

葬儀会館も「家族葬」へのニーズの多様化に応える体制ができていることから、今までの古いしきたりに縛られることもなく、故人を想った、もしくは故人の遺志での、かなり自由なスタイルの葬儀が可能です。(故人の遺志も十分反映できる)  

このように「家族葬」は、より遺族の気持ちに寄り添ったお見送りの形と言えるでしょう。

6.「家族葬」の4つのデメリットとは?


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「家族葬」のメリットをご紹介しましたが、デメリットはどのようなものが考えられるのでしょうか。

「家族葬」は、極端な言い方をすると、日本に古くからある「お葬式はこうあるもの」という固定概念の真逆にある葬儀の形かもしれません。

「訃報を制限する」「参列しないよう頼む(断る)」ということは、今までのお葬式では考えられないことです。

デメリットがあるとすれば、まず、その古式ゆかしき葬送のかたち、つまり「参列者の気持ちに反する」ことではないでしょうか。

まだ新しいスタイルであるがゆえに起こる混乱とともに、地域によりお葬式の様式や慣習が違うことによる反発もみられます。

「家族葬」を選んだ時のデメリットについて考えてみました。

 

6-1.要注意!理解不足が生む混乱

一番は、やはり特に年配の方に「義理を欠く」「呼んで欲しかった」と叱責されるケースが多いということ。

また「家族との別れ」を最優先するため、社会的な立場でのお別れが後回しになってしまいます。

「家族葬」というスタイルが地域によってはまだ認識度が低いため、訃報でその旨を知らせていても当日来られるなど、対応に苦慮する場合もあるようです。

 

6-2.葬儀場所が限定される

参列者を限定するために訃報も限定した場合は、近隣に知られてしまうので自宅や集会所は使えないなど、会場に一定の制限がかかる場合があります。

その時には別にご遺体の安置場所が必要になります。

安置施設がある葬儀会館の場合は、葬儀のスケジュールが決まるまでの間、その施設の安置施設を利用します。(施設によっては冷蔵設備があったり面会ができたりするところもあります。)  

また安置施設のない葬儀会場の場合は、安置する場所が必要です。

経費の面では、安置施設の利用費、ドライアイス代などが追加として考えられます。

 

6-3.香典等の収入がない

「一般葬」で香典をいただいた場合、参列者が多いと香典で葬儀費用の一部を賄えることもあります。

「家族葬」では参列者が少ないため(あるいは香典等辞退した場合など)香典収入が見込めず、葬儀費用はそのまま出費となります。

 

6-4.関係者への後日対応が必要

「家族葬」の行い方はさまざまですが、訃報をどうするのかが最初に直面する問題と言えるでしょう。

〇訃報はできる限りの方へ伝えたが、同時に「家族葬」であることを明記し、参列のお断り(場合に酔っては香典などお供えのお断り)も強くお願いした

〇訃報は限定的にして、家族だけで見送った  

どちらの方法を選んだとしても、葬儀があけたあと、または四十九日の法要後には、参列をお断りした方々に、事情を説明し参列制限のお詫びと理解を得るアクションが必要になります。

7.「家族葬」に対するマナー


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訃報とともに「家族葬で執り行うため、参列はご遠慮ください」と連絡があった場合は、お見送りをしたい気持ちはあってもご遺族の気持ちを尊重し参列は見合わせましょう。

 

7-1.一番大切なことは遺族の気持ち

なぜご遺族が「家族葬」という形を選んだのかを理解することが大切です。

家族を中心とした少ない人数でゆっくりと最期の時間を過ごしたいという思いを最優先した葬儀の形なのですから、訃報を受けた側もその遺族の気持ちを十分に尊重しましょう。

「以前にうちのお葬式で参列いただいた、またはお香典をいただいたので・・」と気にされる方もありますが、「家族葬」の場合はそういうお付き合いの儀礼に全く囚われませんので、気にしなくて大丈夫です。

 

7-2.参列のマナー

「家族葬」であっても服装は一般的なお葬式と同じです。

喪服と数珠を忘れないようにしましょう。

訃報に特にお供え等の辞退がなければ、香典や供花を用意します。

なお、香典の金額に関しては、一般的葬儀と変わりありません。

受付がない場合もあるので、お悔やみの言葉や香典は直接遺族へ、ということになります。

 

7-3.儀礼的な弔問・弔電や香典は控える

お供えなどについて、辞退の記載があれば一切を控えます。

また特に記載がなければ、香典や弔電、供花については会場へ送っても問題はないでしょう。

後日お参りをしたい時にも、ご遺族の予定や気持ちを優先し、短い時間で切り上げます。

もしそれが儀礼的なものであれば、あえてお参りしない方がご遺族にとっても負担がなくいいかもしれません。

「家族葬」は今までの日本の「お葬式」の常識から考えると、ある意味特殊な形と言えます。

一番優先されるのは、ご遺族の気持ちですから、お付き合いが軽い場合は、そういう葬送の形と割り切って、ご遺族の意向を尊重しましょう。

 

8.まとめ


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ここ近年、消費者のニーズに葬儀業界が応えて生まれた「家族葬」。

まだ新しい葬送のスタイルは、主に人間関係が希薄な都市部で多く選ばれていますが、地方にも拡がりを見せています。

このスタイルが拡大している背景にあるものとして、少子高齢化社会・社会的な繋がりの希薄化・厳しい経済状況などの社会情勢が考えられますが、日本人の葬儀への意識が時代と共に大きく変わってきていることが考えられるのではないでしょうか。

「お葬式」は故人のために、という名目のもと、大きな費用を掛けて行うという価値観が変化しています。

「一般葬」と違い、「家族葬」というスタイルを選択することは、遺族(近親関係者)側が明確な意思が示している葬儀であるということです。

よって、参列する(参列しない)側にも、それに応じた尊重と配慮が求められます。

遺族側と参列を断られた側で、必要なことをまとめてみました。

〇遺族側に必要なこと

・事前に葬儀スタイルについて家族間で十分話し合っておく

・故人の遺志を尊重する

・なぜ「家族葬」を行いたいのかをはっきりさせる

・費用面を始めとした「家族葬」全体のメリット、デメリットを十分に考えて検討する

・社会的なつながりより家族間のお別れを尊重することに対し、後日に説明責任を果たす(案内状など)

・親戚や親しい関係者への説明は、直接もしくは電話連絡などで理解を求める努力をする

〇参列を断られた側に必要なこと

・「家族葬」について知る

・遺族が「家族葬」を選んだ理由を理解し、その意思を十分に尊重する

・香典や弔電、供花などは遺族の意思に従い無理に行わない

・後日のお参り等に関しても遺族と相談して、できるだけ負担にならないようにする  

本来は、「お見送りの形」はそれぞれの人ごとにあって然るべきものです。

それがどんな形であろうとも、故人の気持ちを尊重し、しっかりとお別れを伝えたいものですね。