お焼香は、マナーを教わらずにいきなり本番になってしまうことが多く、けっこう緊張するものです。

静かな式場で読経が響く中、参列者が居並ぶ前でお焼香をするのですから、間違ったら恥ずかしいですよね。


その場で聞くことは難しいので、いざという時のためにお焼香のマナーは、知っておくにこしたことはありません。

この記事で正しいお焼香の作法や順番、宗派によるやり方の違いなどをしっかり理解してから、葬儀に臨みましょう。


-- この記事の目次 --

1.お焼香の基本の意味を押さえておきましょう

2.お焼香の手順は必ず覚えておきましょう

3.もう迷わない!お焼香の順番

4.式場別焼香の作法はこれでOK!失礼のないお焼香の作法とは?

5. お焼香の作法は故人と自分の宗派、どちらに合わせる?

6.故人の自宅へ弔問したときのお焼香のマナーは?

7.仏教以外の葬儀でお焼香に相当するものは?

8.まとめ

1.お焼香の基本の意味を押さえておきましょう


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お焼香というと、ただなんとなく意味も分からずやっている人も少なからずいらっしゃると思います。

しかしお焼香には古い歴史があり、日本では飛鳥時代にも遡るのです。

ここではお焼香の由来や意味についてお伝えしていこうと思います。

長い歴史を持ち、仏教とは切っても切れないお焼香について深く知ることで、よりいっそう気持ちを込めることができるのではないでしょうか。

 

1.1 お焼香は死者の弔いや浄めの意味がある

お焼香は、香木の産地であるインドにあった習慣で、仏教が広まったときに取り入れられたものです。

お焼香には死者を弔う供養の意味合いと、場や人を清浄にし、心や体の穢れを取り除くという意味があります。

また、極楽浄土にはふくいくたる良い香りがたちこめていると考えられていますので、それになぞらえたという解釈もあるようです。

他にも、香によって死者の死後の幸福を祈る気持ちを届ける、香りが広がるように仏の教えが広がるなどの意味があるとも言われています。

葬儀で置かれる香炉には、右に抹香(粉末状または荒刻みのお香)、左側に灰があり、その上の焼香炭に火がついています。

一般的には、葬儀のお焼香と言えばこの香炉を使ったものを指し、お線香はあまり使われていません。

 

1.2 遺体のにおい消しや虫よけの役割も

お焼香のルーツであるインドは気候も暑く、昔はドライアイスやエアコンがなく、保存技術も乏しかったことから、遺体の腐敗による悪臭はひどかったものと思われます。

お焼香は前述したような霊的・仏教的な意味だけではなく、葬儀の際の臭い消しとしての役割もあったのです。

 

1.3 お焼香は1回?3回?それぞれの意味とは

お焼香の回数は、仏教の宗派によって変わってきます。

また、回数自体にも意味があるのです。

1回…一心に故人を思い、冥福を祈ること

2回…戒と定の2つの教えにより、自らの修行を目的とする

3回…貪・瞑・痴(とん・じん・ち)の三毒を焼香することで綺麗に退治すること、三宝(仏・法・僧)に献上するという意味、三業(身・口・意)を浄化するという意味などがある  

1回目は特に説明の必要はないでしょう。

2回目は、仏教の教えの戒律と定心に基づいています。

戒律とは、悪い習慣をなくし善行を修めることで、定心は精神の安定を目的とする修行です。

つまり2回目の焼香は、お焼香をする人の修行になっているんですね。

3回目はむさぼる、怒る、愚痴るの三毒と呼ばれる煩悩や三業を焼き尽くすために行われます。

また、三宝、つまり仏様と仏の教えや僧に捧げるというのも修行の一環と言えますね。

これはお焼香する人の執着心を取り除き、三宝に帰依することを表しているのです。

2.お焼香の手順は必ず覚えておきましょう


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次に、基本とされるお焼香の手順をご紹介いたします。

お焼香は宗派によって少しずつ作法が違いますが、まずは基本のやり方を覚えましょう。

前の人のやり方をまねするというのも手ではありますが、喪主ではそれができません。

故人の冥福を祈ることに集中するためにも、お焼香の手順は把握しておきましょう。

 

2.1 これが正しい合掌の仕方・数珠の持ち方

正しい合掌の所作や数珠の持ち方は、ちゃんと習ったことがある人は少ないのではないでしょうか。

他の人の見よう見まねで覚えるパターンが多いと思います。

美しい所作を身に着け、恥ずかしくないお焼香をしましょう。

 

(1)正しい合掌の仕方

合掌も仏教とともに日本に伝えられたものです。

インドでは左手は不浄とされていますが、そこから発展して、右手は仏、左手は生きとし生けるものという意味となりました。

両手を合わせることにより調和や、一体となって成仏を願うことを表現しているのです。

正しい合掌の仕方を2通りご紹介します。

①両手を胸の前で合わせましょう。

親指は真っすぐ、他の指は向こう側に少し倒してください。

頭は自然に前に傾けましょう。

②両手の平や指をしっかりと合わせ、指先を鼻先に持ってきてください。

ひじは自然とはる形になるかと思います。

①と②のどちらを選んでも構いませんが、女性なら①の方が自然に映るでしょう。

 

(2)数珠の持ち方のマナー

数珠は本来、玉が108つ、煩悩の数だけあります。

それを数えることで、煩悩を断ち切る意味があるのです。

数珠の起源はいろいろな説がありますが、その一つにお釈迦様が説かれた、というものがあります。

煩悩を消す方法を探している王様に、お釈迦様が108個のムクロジの実をつなぎ、それを繰りながら仏法僧を唱えるという方法を教えたとのことです。

数珠の持ち方のマナーご紹介します。

本来の108個玉のある数珠はあまり一般的ではありませんので、ここでは使用されることの多い「片手数珠」の持ち方をご紹介いたします。

①、②のどちらでもやりやすい方で大丈夫です。

①左手にくぐらせて親指にひっかけて合掌する。

②両手にくぐらせて親指にひっかけて合掌する。

2.2 お焼香の手順、抹香と線香ではどう違う?

葬儀でのお焼香はほとんどの場合、抹香になるかと思います。

抹香でのお焼香は、左手に数珠を持ったまま右手の中指・人差し指・親指で抹香をつまみ、それを額のあたりにおしいただき、香炉の炭の上に落とすというやり方です。

粉末のお香の場合、指先についたり回りに少し散らばることがありますが、余計広げてしまわないよう、そのままにしておきましょう。

法事や弔問のときにはお線香が多いですね。

お線香は四十九日までは1本、それ以降は通常1~3本ですが、宗派や地域によって異なります。

ろうそくで火をつけ、左手で扇いで余分な火を収めましょう。

息を吹きかけるのはマナー違反とされています。

人間の口は嘘をついたり悪口を言うものだとか、息は不浄とされている、というのがその理由です。

また、お墓参りなどでまとめて火をつけるときは、帯封を取らないと途中で消えてしまいます。

煙の少ないお線香も消えやすいので、普通のお線香を選びましょう。

 

2.3 おりんは鳴らすの?お香はおしいただくべき?

おりんは仏壇にお参りするときには鳴らしますが、葬儀のお焼香では鳴らさなくて良いです。

おりんは、お坊さんが読経をするときに使う仏具という意味合いが強いのがその理由です。

お経の本にはりんを鳴らす箇所が記されており、お経を唱えるとき以外は鳴らす必要はありません。

しかし、仏壇のお参りのときの慣習として鳴らすことは問題はないでしょう。

また、お香を額のあたりに持っていくことを「おしいただく」と言いますが、これは宗派によってやるやらないが決まってきます。

おしいただく動作はうやうやしく捧げて持つという意味がありますので、お香を拝む対象とする宗派では、おしいただく形をとるようです。

どの宗派でおしいただくのかのマナーは、5章で説明させていただきます。

3.もう迷わない!お焼香の順番


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お焼香の順番は、家族葬など参列者が少ない場合はさほど難しくなく、席順で分かったり、迷っても目くばせなどで解決します。

しかし親族や来賓の多い葬儀では順番を決めるのは困難で、トラブルの元となってしまいがちです。

そうしたトラブルを防ぐために、お焼香のマナーにもさまざまな形が作られているのです。

 

3.1 故人との関係で決めるのが一般的

お焼香をする順番は、故人と近しい順というのが普通です。

ざっくりとした順番としては、以下のようになります。

喪主



故人の夫や妻、子供、同居の孫など



故人の父母



故人の夫または妻の父母



同居していない孫



故人の兄弟姉妹



故人の夫や妻の兄弟姉妹



・・・という順に、おじおば、甥姪と続きます。

これは一例ですので、順番は故人が結婚しているか、子供がいるかなどによっても変わり、喪主の次に故人の夫や妻が来ることも多いです。

 

3.2 代表焼香や指名焼香って何のこと?

代表焼香とは、会社や地域の団体などを代表して行うお焼香のことです。

参列者の多い告別式では、一人ひとりがお焼香をすると時間がかかってしまいます。

こういったことを防ぐために、それぞれ一人代表を決めてお焼香をしていただくのです。

また、代表焼香では議員や会社代表、地区の役員などの来賓をすべてまとめて、一人だけ指名してお焼香をしていただく形式もあります。

これを「指名焼香」または「来賓焼香」と言います。

代表焼香でないものは個人焼香と呼ばれることもあるようです。

お焼香をする順番は遺族→親族→指名焼香の方→一般の参列者となります。

指名焼香は告別式の前日までに遺族が決めることとなりますので、できれば焼香順位帳を作っておきましょう。

順番に迷ったときは地域の葬儀社などに相談してみてください。

また、葬儀委員長を決めて一任するのも一つの手です。

葬儀委員長を置いた場合は、お焼香の順番は喪主より先となります。

 

3.3 トラブルを防ぐ止め(留め)焼香

親族同士や参列者同士で、お焼香の順番でもめるのを防ぐために「止め焼香」という方法を使うこともあります。

これは、親族の代表から一人を選んでわざと後の方にお焼香してもらい、故人との関わりの深さとお焼香の順番が無関係であることを示すものです。

喪主や遺族、親族が全員お焼香したあとに止め焼香を入れると、親族同士のもめごとを抑えることができます。

また、来賓同士でトラブルが起きそうなときは、一般の参列者まですべて終了してから最後に止め焼香を行いましょう。

4.式場別焼香の作法はこれでOK!失礼のないお焼香の作法とは?


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式場の大きさや様式によって、お焼香の作法はいくつかの種類に分けられます。

立って行う立礼焼香、座って行う座礼焼香、座ったまま香炉を回す回し焼香の3種類です。

 

4.1 一番多く用いられる立礼(りつれい)焼香

お焼香の形式として、一番多く用いられているのは立礼焼香です。

斎場では椅子に座って葬儀が行われ、遺影の前に焼香台が置かれています。

立礼焼香は焼香台まで立って移動し、お焼香をしてまた戻ってくるという方法です。

やり方としては、自分の順番が来たら椅子から立ち上がり、焼香台に向かいます。

遺族が祭壇の近くにいたら一礼しましょう。

到着したら遺影に向かって合掌して一礼をし、宗派にのっとった方法でお焼香を行ってください。

終えたらもう一度合掌・一礼して、僧侶や遺族、参列者などに一礼をしてから自分の席に戻ります。

何度も礼をするように書いてあるマナー本もありますが、あまり長いと時間がかかりますし、一人が丁寧にやりすぎるとその後の人も続かなければというプレッシャーとなります。

形式にこだわりすぎず、故人の冥福を祈るのを最優先することが、一番のマナーと言えるのではないでしょうか。

 

4.2 畳敷の式場では座礼(ざれい)焼香が多い

畳敷きの会場では、正座して葬儀が行われます。

ここでのお焼香を座礼焼香と言います。

お焼香に行くときはまっすぐに立たずに、中腰で移動するのがマナーです。

祭壇に着いたら祭壇横の遺族に、正座してから一礼してください。

そして改めて祭壇の方に向き直り、遺影を見てから一礼します。

その後、膝歩きで焼香の前にある座布団に座り、お焼香をしましょう。

お焼香を終えたら、祭壇に向けて合掌、一礼し、遺族・僧侶・参列者にも一礼した後、席に戻ってください。

 

4.3 式場が狭いときは回し焼香で

最近ではあまり見かけなくなりましたが、故人の自宅などの狭い場所で葬儀が行われるときは「回し焼香」となる場合があります。

これは、狭いスペースで人が移動するわずらわしさを省くために、香炉を順番に回してお焼香していくというやり方です。

香炉が回ってきたら会釈して受け取り、自分の前に置いてください。

次に祭壇に一礼をし、お焼香します。

終わったら次の人に、香炉を両手で渡しましょう。

 

4.4 足がしびれてしまう時の対処法

足がしびれてお焼香に立てない・・・なんて困りますよね。

特に座礼焼香では畳敷きの会場で正座をするため、足がしびれやすいですね。

回し焼香でも、読経が終わった後に立ち上がるときが心配です。

そんなことにならないよう、しびれにくい座り方をお教えしましょう。

・尾てい骨部分をかかとにのせず、足首で作った円の中に入れる

・足の親指同士を重ねて時々入れ替える

・女性の場合は膝を3~4cm、男性ならこぶし1つぶんくらい開けて座る

などの方法だとしびれにくいと言われています。

しかし足首が硬い人には難しいかもしれません。

また、しびれて立てないときはアキレス腱をマッサージしたり、つま先を手で持ってそらすなどすると解消しやすいですよ。

他にはつま先だけを立てた状態でかかとにお尻を乗せると、30秒くらいでしびれがおさまります。

5. お焼香の作法は故人と自分の宗派、どちらに合わせる?


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お焼香の作法を、故人と自分とどちらの宗派のやり方で行うのかご存知でしょうか。

知らないと迷ってしまいますよね。

ここでは、どちらの宗派でやるのかということと、宗派ごとのお焼香のマナーをお伝えします。

そもそも決まりがなかったり、やり方が何種類も存在する宗派もありますが、その中で自分のしっくりする方法で行うのが正解と言えるでしょう。

 

5.1 一般的には自分の宗派のマナーで良い

お焼香は宗派によって多少、作法が違ってきますが、一般的には自分の宗派のマナーで行います。

 

5.2 抹香焼香の宗派による違い

ここでは、抹香焼香の場合の宗派による違いについてご説明いたします。

真言宗

お焼香の回数は3回です。

3回とも額におしいただいても良いですし、1回目だけでも良いです。

真言宗では弘法大師の教えとして「身(身体)、口(言葉)、意(心)」の三密を修行のもととしているため、3回という回数はそれに由来していると言われています。

また、大日如来、弘法大師、ご先祖様にお焼香をするという説や、戒香(仏の教えを守ること)・定香(座禅)・解脱香(煩悩から解放される)の3つになぞらえて、三宝(仏・法・僧)へ捧げるという説もあります。

・天台宗

天台宗は1回か3回行うことが多いですが、特に決まりはありません。

おしいただくかどうかについても同様です。

天台宗という宗派の教え自体が全体的にざっくりとしていて、基本的に厳しい決まりなどがないのが特徴なのです。

・曹洞宗

曹洞宗はお焼香は2回行い、1回目はおしいただき、2回目はそのまま置きます。

1回目のお焼香を主香といい、これは故人の冥福を願って行うものです。

2回目は従香といって、主香が消えないようする意味があります。

また、敬虔さを表して念をこめるために、右手の下に左手を添えるようにしてください。

その際に左手に抹香がこぼれたら、それもくべましょう。

・浄土真宗本願寺派(西本願寺)

お焼香は1回のみで、おしいただきません。

浄土真宗は亡くなるとすぐに成仏するという教えのため、冥福を祈ることはせず、お焼香はお供えの意味を持ちます。

また、お香の香りをかぐことで、心の豊かさや安らぎを得るときっかけにするというのも、お焼香を行う理由の一つです。

・浄土真宗大谷派(東本願寺)

こちらは2回お焼香し、やはりおしいただくことはしません。

2回行うことには特に理由はなく、本願寺派と区別するという意味合いだと言われています。

・浄土宗

浄土宗ではお焼香は1回または3回です。

参列者が多い場合などは、1回で済ませる方がより好ましいとされています。

右手の親指、人差し指、中指で抹香をつまみ、手のひらを上に向け左手を添えながら、おしいただいてください。

・日蓮宗

日蓮宗は、導師などの特別な僧侶は3回お焼香を行い、他の僧や参列者は1回のみで、額におしいただきます。

・臨済宗

回数ややり方などは特に定められていません。

お焼香は香りをお供えするものですので、心を込めていれば形にはこだわらない、という考え方なのです。

ただ、葬儀の際は一に帰す(根源に帰る)という意味合いで、1回だけ行うことが多くなっています。

 

5.3 お線香の場合はどうすればいい?

それでは、お線香の場合のお焼香の作法も宗派ごとに見てみましょう。

お線香は葬儀のときよりも、弔問時に使用することが多いですね。

その場合は自分の宗派よりも、その家のやり方に合わせる方がスマートでしょう。

家人がお供えしたお線香のあとが残っていると思いますので、それに合わせましょう。

分からなければ、普段どうやっているか聞いてもいいですね。

・真言宗

抹香の場合は3回でしたが、線香も3本立てるのが真言宗のしきたりです。

1人が代表する場合は逆三角形になるように、香炉に3本立てます。

2人以上では1本で大丈夫です。

その場合は、後の人のことを考えて奥の方に立てましょう。

・天台宗

天台宗は公式サイトでは、特に線香の本数に決まりはないとなっています。

しかし、3本立てるのが正式とするという説もあるようです。

3本の場合の立て方も、逆三角に離して立てる、まとめて立てるなどいろいろ言われています。

・曹洞宗

曹洞宗では、お線香は香りが長く続けば良いという考えのため、1本だけ立てます。

香りをお供えするという意味合いなので、お線香が苦手ならハーブなどで代用してもかまわないとのことです。

・浄土真宗本願寺派(西本願寺)、浄土真宗大谷派(東本願寺)

1本の線香を香炉に入るような長さで2~3本に折り、火をつけて横向きに置いてください。

また、火のついている方を左側にしましょう。

普通の灰の上に置くと火が消えやすいことから、藁灰という種類の灰を使用することもあります。

このやり方は燃香といい、浄土真宗の本山で行われている作法を模したものです。

本山では常香盤(じょうこうばん)という香炉を使用し、灰につづら折りのような溝を作った中に抹香を入れます。

常香盤を使用した方法では、効率的に長時間燃やすことができるので、9時間もの間お香の火はついたままです。

・浄土宗

浄土宗ではお線香をお供えするのに、特に決められた作法はありません。

1本立てる場合が多いですが、浄土真宗のように折って横にする地域もあるようです。

また、2つに折って立てるという説もあります。

・日蓮宗

お線香の本数は3本が一般的となっています。

参列者が多い場合は1本でもかまいません。

3本の場合の立て方については、決まりはないようです。

・臨済宗

臨済宗は立てて使用すること以外は特に決まりはありませんが、お焼香と同じようにお線香も1本というのが主流です。

※自宅などでお線香を立ててお供えする場合は、先に使用したものが火が消えているかどうかを確認してから、新しいお線香を使いましょう。

古い方が消えていなかった場合、下から燃えて倒れるなど、火事の原因となることがあります。

6.故人の自宅へ弔問したときのお焼香のマナーは?


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なんらかの都合でどうしても葬儀に参列できないときは、後日故人の自宅へ弔問することとなります。

そのとき、仏壇にお参りする作法はどのようにしたらいいでしょうか。

失礼のないように、マナーを覚えておきましょう。

 

6.1 電話などで相手の都合をまず確認してから

故人の自宅を弔問するときは、まず電話をして相手方の都合を確認しましょう。

連絡するのはなるべく早い方がいいですね。

できれば四十九日以内が望ましいです。

 

6.2 喪服ではなく、地味めの服装で

特にかしこまって喪服を着る必要はありませんが、派手な色合いやアクセサリー、ラフな服装は避けるべきでしょう。

地味な色のスーツが一番いいかもしれませんね。

もちろん喪服でも問題ありません。

供花やお供え物などを持っていくといいですね。

花も派手目なものより、菊や百合などが一般的です。

とげのあるバラなどは避けた方がいいでしょう。

お供え物はお饅頭や焼き菓子、お線香、故人の好きだったものなどで大丈夫です。

お線香をお供え物として持っていく場合は、四十九日以内でないといけないという説もあります。

しかし、仏壇がある家では毎日お線香を仏様にお供えしているので、ダメである理由ははっきりしていません。

ただ、マンションなどでは煙や香りを気にされる方もいらっしゃるので、煙の少ないお線香を選ぶといいでしょう。

 

6.3 お香典や数珠は忘れずに

お香典を送っていない場合は持っていきます。

四十九日以内なら「御霊前」、四十九日以降なら「ご仏前」の袋を使用してください。

数珠はなくても問題ありませんが、できれば準備しておくといいでしょう。

 

6.4 お参りの手順

遺族にお会いしたら、まずお悔やみの言葉を伝えましょう。

そして、お線香を上げさせてくださいと頼みます。

弔問先で玄関から上がるときは、仏様や遺族の方にお尻を向けない配慮が必要です。

靴は正面を向いて脱いでください。

脱いだ靴を揃えるときも、斜めに座ります。

靴のお尻(かかと)も家の中に向けないように、玄関の側面に横向きに、できるだけ扉寄りに置きましょう。

これは弔問時だけでなく、一般的なマナーです。

また、ふすまの敷居や畳のヘリも踏まないように気をつけましょう。

理由はいろいろあるのですが、昔からのしきたりです。

お参りする前に、座布団の横に座ったら遺族に一礼してください。

そして座布団には座らず、横に寄せましょう。

仏壇の方を向いたら、もう一度一礼します。

そして持ってきたお香典やお供物を仏壇横に置き、ろうそくに火をつけ、お線香をお供えして下さい。

お線香の火を収めるときは手で扇ぎましょう。

おりんは、仏様へのご挨拶とも言われています。

鳴らすときは内側の、ふちの下あたりを叩くと良い音が出ます。

そして合掌して心の中で祈り、一礼してください。

終わったら、遺族の方にもう一度一礼します。

故人との思い出話などを少々お話して、早めに退出しましょう。

7.仏教以外の葬儀でお焼香に相当するものは?


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仏教以外の宗教でもお焼香に相当するものがあり、葬儀のときに参列者が故人に捧げる形をとります。

宗教は違っても、死者の冥福を祈る気持ちを形で表すことには変わりはないんですね。

それでは、神式とキリスト教式の葬儀ではどのような方法で行うのか、見てみましょう。

 

7.1 神式では玉串を捧げる

神式でのお焼香に相当するものは、「玉串奉奠(たまぐしほうてん)」または「玉串拝礼(たまぐしはいれい)」と言います。

玉串とは、榊の枝に紙垂(しで)と呼ばれる紙を麻の糸で結んだもので、神への捧げものです。

 

7.2 玉串奉奠(たまぐしほうてん)のやり方は?

まず玉串を捧げる順番としては斎主(神官)から行います。

そのあとは副斎主、祭員(儀式を手伝う神職の方)、喪主、遺族、参列者の順番です。

自分の順番が来たら祭壇に向かい、遺族に一礼しましょう。

次に神官に一礼し玉串を受け取りますが、右手で根元を上から、左手で葉の部分を下から持ってください。

胸のあたりで、左側(葉の部分)が少し上になるようにやや斜めに横向きに捧げ持ちます。

祭壇に着いたら、もう一度一礼してください。

玉串を時計回りに回して、葉が祭壇の方を向くように下から捧げ持ちます。

左手を根元に下ろして両手で持ったら、祈りをこめてください。

祈り終えたら右手を玉串の真ん中あたりに持っていき、根元側を祭壇に向けましょう。

そのまま玉串を玉串案の上に置いてください。

一歩下がり、祭壇に向けて二礼二拍手します。

その際、音をたてないよう直前で止める、忍び手という方法で行ってください。

神官や遺族に一礼して、自分の席に戻って終了です。

以上が一連の流れとなりますが、神社や宗派によって方法が異なる場合があります。

 

7.3 キリスト式では白い花を捧げるが、バラは使わない

キリスト教の葬儀では、お焼香に相当するものは献花となります。

キリスト教以外でも、お別れの会や事故の際の合同慰霊祭では献花が行われることが多いです。

献花はどんな宗教の方でも受け入れられる作法として、広く活用されているのですね。

キリスト教では主に、白い花を使用することが多く、白でもバラなどとげのある花は使われません。

 

7.4 献花の際の花の向きなどの作法は?

それでは、献花の作法をご説明します。

自分の順番になったら祭壇へ向かい、遺族に一礼します。

献花のための花を係の方から受け取ってください。

受け取るときは花が右手に来るように横向きに持ちます。

右手は下から支え、左手は上から持つようにしてください。

祭壇(遺影)に一礼します。

花を右に回して根元を祭壇に向け、左手を下に添えながら献花台に置いてください。

黙祷か一礼を行いますが、プロテスタントの方は両手を組み、カトリックの方は十字を切ります。

特にキリスト教の信者でなければ、合掌してもかまいません。

遺族に一礼して席に戻って終了です。

これ以外に、棺に花を入れるやり方もあります。

8.まとめ


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お焼香は、人の前に出て行うことが多いため緊張しますし、早く終わってほしい、終わるとホッとするという方が多いかもしれません。

しかしお焼香の意味や由来を知ることで、味わい深く、経験な気持ちで行えるようになるのではないでしょうか。

こういったしきたりは、先人の死者を弔う気持ちの積み重ねの結晶であり、決して無駄なものではありません。

堅苦しく義務的に守るマナーではなく、今の時代に合うようなやり方で、かつ故人への気持ちを込めてお焼香を行うようにしたいものですね。