私たちの日々の生活の中ではあまり聞き慣れない言葉、「玉串奉奠(たまぐし-ほうてん)」。

玉串とは、榊という植物に、しめ縄によく見られるような「紙垂」(紙片)をつけたもので、「玉串奉奠」とは、神職の指示に従ってこの玉串を神様に捧げる作法のことを言います。


・「玉串奉奠」の由来や意味について知りたい

・「玉串奉奠」はどういう儀式で行われるの?

・その場で慌てない「玉串奉奠」作法のポイントは?


「玉串奉奠」は「神道(しんとう)」の儀式です。

日本固有の信仰である「神道」についてとその作法、慶事と弔事での作法の違い、マナーや注意すべきポイントなどについても詳しくご紹介します。


-- この記事の目次 --

1.「玉串奉奠」の基本!4つのポイント

2.「玉串奉奠」の作法(手順)を知ろう

3.「神道」って宗教なの?知っておきたい4つのこと

4.「神道」を理解するための基本は3つ

5.「玉串奉奠」が行われる3つの代表的儀式

6.神式の葬儀「神葬祭」を5項目で理解する

7.神社へ謝礼をするときに注意すべき3つのこと

8.まとめ

1.「玉串奉奠」の基本!4つのポイント


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「玉串奉奠」は「玉串拝礼」とも言い、言葉自体にはあまりなじみがありませんが、実は私たちの人生や日常において、多くの大切な機会(儀式)に行われている神道の作法、「礼拝」なのです。

この「玉串奉奠」の基本について、理解する4つのポイントをご紹介します。

 

1-1.「玉串奉奠」はこんなときに行われます

○お願い事があるとき

・・・良縁成就や安産、受験合格などの祈願  

○ご祈祷してもらいたいとき

・・・地鎮祭や厄祓い、子孫繁栄など  

○不幸があったとき

・・・葬儀や忌明けのまつりごと、年ごとのまつりごと

*「玉串奉奠」は仏教の焼香にあたるものとして行われています  

○お祝いのとき

・・・お宮参り、結婚式や七五三(十三参り)、成人式など  

「玉串奉奠」とは、このような折々の儀式において、「玉串」に自分の心(魂)を込めて神様に捧げます。

 

1-2.「玉串奉奠」の意味と由来

「玉串」の「玉」とは「魂」「霊」という意味を持っています。

「串」は「細長い棒」を表現しており、本来「玉串」は神さまの御力(神威)を頂くために用いられましたが、近年は「神前に捧げる」ものとなりました。

「玉串」は神様の「依り代」であり、「神様とひとを結ぶもの」という意味が、また「奉奠」には「謹んで供える」という意味があります。

「玉串奉奠」とは、この「玉串」を神様へ奉って拝礼する事を言います。

「玉串」は、神様にお供えする米や酒、魚などの「神饌」と同様の「お供え物」としての意味がありますが、神様に対し儀式の中で祈念を込めて捧げ拝礼するため、「神饌」よりもっと特別な意味を持っていると言えるでしょう。

 

1-3.玉串って何でできているの?

○「玉串」は「榊(さかき)」という植物の枝葉で作られます

「玉串」は、神木としても供えられる常緑樹の「榊(さかき)」に「紙垂(かみしで)」という白い紙をつけたものです。(「紙四手」と書く事もあります)  

○なぜ「玉串」に「榊」を使うの?

榊は常緑樹を代表する樹で、「栄える」という意味を持っているからだと言われています。

 

1-4.榊に白い紙をつける理由は?

「玉串」とは、榊の枝葉に、半紙などを切り折りし稲妻の形をした白い紙を麻で結びつけたものです。

この切り折りした白い紙「紙垂(しで)」は、榊につけた場合には祓具としての意味を持ち、しめ縄につけて祭場に飾った場合には、そこを聖域とする意味を持っています。

神棚も同様で、神様の領域を外界と区別するために使われます。

榊と紙垂でこのように作られる「玉串」は、神様と人を結ぶ重要なものなのだということがわかりました。

では実際に「玉串」を神様に捧げる作法についてご説明します。

2.「玉串奉奠」の作法(手順)を知ろう


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「玉串奉奠」は、「神道」の各種儀式において、神職からお祓い・ご祈祷を受けるときに欠かせない作法です。

ルールがありますので、作法の内容をしっかり見ていきましょう。

 

2-1.「玉串奉奠」の作法・慶事と弔事で違う部分

・慶事の「玉串奉奠」の流れでは、神職による祝詞のあと玉串を捧げ、拝礼(二拝 二拍手 一拝)します。

・弔事の「玉串奉奠」の流れでは、仏教葬儀の焼香に変わるものとして玉串を捧げ、拝礼(二拝 二拍手 一拝)します。このとき、二拍手は音をたてません。

慶事と弔事の「玉串奉奠」の流れで大きく違うのは、拝礼時の「拍手」です。

「拍手」は「かしわ手」とも言われ、鈴と同じようにその場の邪気を祓ったりする意味がありますが、弔事の場合は、「しのび手」と言い、音を立てずに静かに手のひらを合わせます。

神社への御礼については、慶事でも弔事でも「玉串の代わりに納める」という意味で、のし袋に「御玉串料」と表書きします。

 

2-2.玉串のささげ方と手順

「玉串奉奠」の作法について説明します。

○「玉串奉奠」の作法

(1)神職及び祭主に一礼し、「玉串(榊)」を受け取ります

(2)持ち方は、右手で「玉串」の根本を上から持ち、左手で「玉串」の先を下から持ちます

(3)持つ高さは胸のあたりで、少し左を上げます

(4)神前へ、左足から進みます

(5)台(玉串案)の一歩手前で止まり、拝礼します

(6)「玉串」を右回りで(右手を返しながら)90度回転し、根元を両手で持ち自分の正面に立てます

(7)祈念します

(8)祈念が終わったら、左手を「玉串」の根元に移動し、下から持ちます

(9)右手を上に移動し「玉串」の刃先を下から持ちます

(10)「玉串」の根元がご神前に向くよう、右回りに180度回します

(11)左足から一歩出て、両足を揃え、玉串を奉ります

(12)右足から一歩下がり、両足を揃えます  

○拝礼の作法

(13)深いお辞儀(拝礼)を2回行います

(14)両手を合わせ、右手を少し下へずらし2拍手

*神道のお葬式の時にはこの拍手は「しのび手」(音をたてない)です

(15)深いお辞儀(拝礼)を1回行います

(16)神前に軽くお辞儀をして、右足より下がります

(17)神職及び祭主にお辞儀をして席へ戻ります  

*なお「玉串奉奠」の作法については、各地域の神社や教派(十三派)により異なる場合がありますので、詳しくは儀式を受ける各神社等に、事前に確認されることをお勧めします。

 

2-3.「玉串奉奠」作法の注意点6つ

・玉串は拝礼のときに向きが変わりますので、その方向を間違えないようにします。

・玉串は1度で回さないようにします

・歩きながら回してはいけません

・祈念を忘ずに行いましょう

・拝礼(二拝 二拍手 一拝)を忘れないこと

・神職から玉串を受け取るときにお辞儀を忘れないこと

などがあります。焦らずに落ち着いて行いましょう。

さて、「玉串奉奠」の作法はこれで理解できましたが、その儀式が行われる「神道」とは、いったいどのようなものなのでしょうか?

「神道」について知っておくべきポイントを簡単にご紹介します。

3.「神道」って宗教なの?知っておきたい4つのこと


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「神道」は日本で生まれた宗教で、日本の固有の神様を信仰しています。

宗教ですが、キリストやアラーのような「唯一の神」を持ちません。

では「神道」にはどんな神様がいるのでしょうか?  

3-1.「神社」はどうしてできたの?

「神道」では、山奥の森や滝などの自然や森羅万象の中に存在する「神霊」(神々)を崇拝し、祭神としています。

山奥など不便な場所だとお詣りも叶わないため、生活の場に近く、人々がお詣りしやすい便利な場所である里山や里森に「社(やしろ)」が建立されました。

これが「神社」の始まりです。

神社建立の森は全体が「神社」エリアとして認識され、「鎮守の森」とも呼ばれ、現代になっても大切に保護されているところが多いです。

 

3-2.「神社」にお祀りされている神様

○「神社」にお祀りされている神様は、大きく分けて3つに分類されます

・自然に由来する神様(自然や自然事象など)

「海神」や「山神」「風神」「雷神」など、そのままの名前がついている神様が多くみられます。

・神話に由来する神様(神話や伝記に登場するなど)

昔話などにもよく登場する「天照大御神(あまてらす-おおみかみ)」「大国主命(おおくにぬしのみこと)など。

有名な名称の神様が多いです。

・人間に由来する神様(人間に似た外見や気質を持つなど)

地域で祀られている「氏神」「産土神(うぶすな-がみ)」や、政治や学問、戦争など、各時代において大きな功績を残した人が「功労者神」として祀られることもあります。(徳川家康、武田信玄なども神様として祀られています)
 

3-3.神道とは?4つの大きな特徴

○「一神教」ではない

「一神教」とは、ひとつだけの神様を認め信仰する宗教で、典型的なものが「ユダヤ教」「イスラム教」「キリスト教」です。

「神道」は全知全能の神(絶対神)を持たず、自然や森羅万象(この世に存在するすべてのもの、すべての事象)の中に神霊があるとして「八百万の神々(やおよろずの神々)」を信仰の対象にします。

「八百万(やおよろず)」とは固有の名前ではなく、「たくさんの」という意味です。

神道で祀られる神々は、自然や自然現象(風神・山の神・海神など)を司る神を始めとして、多くの神々が存在しており、その中には名前を聞けばなじみの深い神様もたくさんおられるでしょう。

○現世を大切にする

いま生きている「この時」を重んじており、亡くなってからの極楽浄土(未来)とか、生まれる前の業(過去)ではなく、この「現在」を重要視する思想「中今(なかいま)」を大切にしています。

これは「過去を悔やんだり、将来を心配するのではなく、今この時を全力で大事に生きなさい」という考え方を伝えています。

○教義や教典、教祖をもたない

「神道」は、古代日本の生活における、人々の「自然崇拝」が源になっています。

先ほど説明したように、「森羅万象に八百万の神」、自然の中で畏敬の念を抱く対象や事象(それは岩でも山でも、そう感じるものなら何でも構いません)を「神」として拝み、周りを清め、近づかず、崇め学んできました。

こういう発生のため、「神道」には教義や教典がないのです。

(その後に生まれた教義を持つ神道の流派、神道系の宗教もあります)  

○入会や信者という概念がない

神道を信仰しているという意識があれば良く、入会や信者等の形式はありません。

 

3-4.聞いたことがある?実は身近な「日本神話」

○日本ができたお話

まだ日本がなんの形もないころ、神々の集う高天原(たかまがはら)で、三柱の神々が海をかき混ぜ、まず最初に淡路島、そして四国と、順に日本(島国)全体を創りあげました。

生まれた日本の国土をしっかり作り護るようにと天命を受けたのが、「イザナギノミコト」「イザナミノミコト」です。

日本の神話には、この最初の「国作りの神話」を始めとして、「古事記」の中でも最も有名な「天の岩戸」、そして「稲羽(いなば)の白兎」や「八俣の大蛇」など、子どもの頃昔話として親しんだお話がたくさんあります。

こういった神話の数々を一般的に「日本神話」と呼び、多くの個性豊かな神様が登場しています。

また、おなじみの「お稲荷さん」や「七福神」も、神道の神様です。

4.「神道」を理解するための基本は3つ


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古来より、日本人は稲作を中心とした暮らしを営み、厳しい日々の中で豊作を願って神へ祈り、収穫に感謝して神へ供物を捧げてきました。

この信仰が「祭り」(豊穣祭や収穫祭)という形になり、それは現代へも脈々と引き継がれています。

また同様に、日本人の暮らしの中に当たり前のように存在する「儀式」として、初詣や七五三、お宮参り、厄祓いや結婚式、地鎮祭などがあり、これらは全て神道の行事なのです。

 

4-1.「神道」は日常のなかにあるものだった

「神道」は、幼い頃絵本などで親しんだ昔話としての「日本神話」や各地の祭り、お祝いの儀式などの中にその「信仰」を見いだすことができます。

日本人にとっての「神道」とは、宗教や信仰と言うよりも「記憶や心の中に溶け込んで自然に馴染んでいるもの」「昔から日本人の暮らしと共にある身近なもの」だと言えるでしょう。

神社についても、全国には大小さまざまな神社が多くありますが、初詣など参拝でも気軽に訪れていることが多いと思います。

神社に参拝するときの作法について、ご紹介します。

 

4-2.神社の参拝方法、基本の手順は2つ!

神社境内に入る前に、姿勢を正して服装をきちんと整え、お辞儀をしたのちに頭を下げて鳥居をくぐり境内へ進みます。

参拝の手順は、ます身を清めるために「手水舎(ちょうず-しゃ)」で手を洗って口をすすぎ、そのあと拝礼へと進みます。

○「手水(ちょうず)の儀」の作法

・ひしゃくを右手で持ち、左手に水をかける

・次に、左手に持ち替え、右手にも水をかける

・再び右手に持ち替えて、左手で水を受け、口をすすぐ

・左手に水をかける

・口をぬぐい、手を拭く  

○拝礼の作法

・お賽銭を入れ鈴を鳴らす

・2回拝礼(深くお辞儀)

・両手を合わせて右の手を少し下へずらす

・2回手を打ち、お願い事をする

・1回拝礼(深くお辞儀)  

神社によっては別の作法の場合もありますが、基本は「二拝 二拍手 一拝」です。

また、鈴を鳴らすのは、「鈴の音で祓い清める」「神様にお詣りをお知らせする」という意味を持っています。

以上が神社における普通の参拝ですが、特別な祈願がある場合や社殿参拝を行いたい場合には、神社の社務所で申込みが必要になります。

 

4-3.ご祈祷を受け、玉串を捧げる

社務所でご祈祷の申込みをし、社殿にて神職によるお祓いの後、祝詞奏上、玉串奉奠、そしてお守りなどをいただく流れとなります。

祈願の内容については非常に多岐に渡っており、子孫繁栄、家内安全から良縁や必勝祈願など、常識的なお願い事なら何でも申し込むことができます。

ただしご祈祷には「祈願」(神様にお願いをする)と「報賽(ほうさい)」(願いが叶ったときの御礼)がありますので、祈願成就した場合には必ずお礼参りを行ってください。

ここまで、「神道」について、知っておくべきポイントなどを簡単にご紹介してきました。

では、「玉串奉奠」が行われる「神道」の儀式にはどんなものがあるのでしょうか?

どんな時に、どんな作法で行われるのでしょう?

5.「玉串奉奠」が行われる3つの代表的儀式


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日本古来からある宗教「神道」の中における「玉串奉奠」は、神さまの「お心」と、人間の魂や、真心をこめた真剣な「祈願」をひとつに結ぶ神事です。

「玉串奉奠」が行われる儀式は多くありますが、代表的なものと玉串を捧げる順番をご紹介します。

なお、どんな儀式でも「玉串奉奠」の作法は同じです。

 

5-1.お祝い事・慶事の「玉串奉奠」

結婚式で言えば「和婚」が人気急上昇で、神社で結婚式を挙げるカップルが増えているようです。

このスタイルは「神前式」と呼ばれ、大正天皇の婚儀(明治33年)が起源となっています。

「神前式」での「玉串奉奠」は、新郎新婦が2人揃って一緒に行います  

○「神前式」における「玉串奉奠」の順番

・新郎新婦

・媒酌人

・親族  

5-2.地鎮祭の「玉串奉奠」

「地鎮祭」とは、土木工事や家を建てるときに、工事の無事や安全を神様に祈る儀式です。

その土地の氏神様の神職を招き、行われます。

○「地鎮祭」における「玉串奉奠」の順番(個人)

・施主

・施主家族

・設計事務所など

・建築事務所など  

○「安全祈願」など工事関係の「玉串奉奠」の順番(会社)

・会長

・社長

・部長 など

決められた順番はないので会社側が判断し、神職に伝えます。

一般的には社内の序列または年功序列に従います。

 

5-3.神式葬儀(神葬祭)の「玉串奉奠」

「神道」のお葬式は「神葬祭」と言い、「神葬祭」における「玉串奉奠」は、仏式の焼香にあたるものです。

○「神葬祭」における「玉串奉奠」の順番

・喪主(施主)

・遺族

・親戚

・来賓参列者

・一般会葬者  

「神葬祭」では、喪主と参列者では異なる「玉串」を用いることもあります。

喪主は「太玉串」という榊の枝葉がひとまわり大きくいものを使用します。

「紙垂」の色も白から紅色へ変わる場合があるようです。

「玉串奉奠」が行われる「神道」の儀式は、上記のほか慶事・弔事・祈願・祈祷など多くあります。

次に、「神道」のお葬式「神葬祭」について、「玉串奉奠」も含めもう少し詳しくご紹介しましょう。

「神葬祭」の流れ、「玉串奉奠」の作法や注意点、基本的なマナーはどうなっているのでしょうか?

6.神式の葬儀「神葬祭」を5項目で理解する


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現代の日本では「仏教」が主要な宗教となっているため、神道のお葬式に参列する機会は少ないかもしれません。

「神道」と「仏教」とでは、葬儀の意味も様式も全く異なるものになっています。

一般的な解釈として比較してみると  

○仏教の葬儀の場合

亡くなった人を極楽浄土へ送り、仏の許で心安らかに暮らす(成仏)ために行います。

○神道の葬儀の場合

亡くなった方を極楽浄土へ送るのではなく、留めて家の守護神とするために行います。

また、仏教葬儀は寺で行えますが、神道の場合は神社では行いません。

それは「神道」では「死は穢れ」であり聖域=神社へ持ち込めないからです。

葬儀会場としては、自宅や集会所、葬儀会館などに神職を招いて行われます。

 

6-1.仏教葬儀と違う独特の作法とは

「神道」と「仏教」では、葬儀の意味や様式だけでなく、死に対する考え方も違います。

「神道」のお葬式「神葬祭」だけに行われる特長的な儀式に「手水(ちょうず)の儀」があります。

身を清めるため、通夜・葬儀の前に行われます。

入り口に準備された手桶の水で、参列者は手と口を清めます。

○「手水(ちょうず)の儀」の作法

・ひしゃくを右手で持ち、左手に水をかける

・次に、左手に持ち替え、右手にも水をかける

・再び右手に持ち替えて、左手で水を受け、口をすすぐ

・左手に水をかける

・懐紙で口をぬぐい、手を拭く

*神社に参拝する時の「手水舎」での作法と同じです。

○線香、焼香がない

仏式葬儀の焼香にあたるものとして「玉串奉奠」が行われます。

○「諡号(おくりな)」がある

仏式葬儀の戒名、法名にあたるもので、「神道」では「諡号」が与えられます。

故人の氏名は俗名ではなく、そのまま使われる(御霊の名前になる)のは、名前は神さまや両親からいただいた大切なものであるとするからです。

○お経ではなく「祭詞」

神職が読み上げる「祭詞」には、亡くなった方の事(功績や経歴など)が織り込まれており、遺族への神様の加護を祈る意味もあります。

静かに聞きながら、故人について想いを馳せましょう。

 

6-2.神道葬儀「神葬祭」の全体流れ(一例)

○亡くなってから納棺まで

・葬儀業者と葬儀の日程や予算等を詰めます。

〈帰幽(きゆう)奉告〉

神棚や祖霊舎(仏壇にあたるもの)に亡くなったことを奉告します。

祖霊舎の扉を閉め、白い紙を貼ります。(神棚も同様に白い紙を下げます)  

〈枕直しの儀〉

遺体に白い着物を着せ、白い布で顔を覆って、北枕に安置します。

祭壇を作り、米、塩、水、酒、故人の好きだったものなどを供えます。

〈納棺の儀〉

遺体を棺に納めます。

棺を白い布で覆い拝礼します。

○「神葬祭」第1日目

〈通夜祭の儀〉

仏式葬儀の通夜にあたるものです。

神職が祭詞奉上し、遺族(参列者)は「玉串奉奠」を行います。

〈還霊祭(せんれいさい)の儀〉

通夜祭に続いて行われるもので、会場を暗くし、神職により故人の魂を霊璽(れいじ・仏教における位牌に相当するもの)に移す儀式です。

○「神葬祭」第2日目

〈葬場祭(そうじょうさい)の儀〉

仏教に於ける葬儀・告別式に相当する儀式です。

弔辞・弔電・祭詞奏上・「玉串奉奠」が行われ、故人に別れを告げます。

〈火葬祭の儀〉

火葬前に、火葬場にて行われ、神職による祭詞奏上・「玉串奉奠」を行います。

〈帰家祭(きかさい)の儀〉

自宅へ帰りお清め(塩、手水)後、神葬祭が無事終了したことを神棚や祖霊舎に奉告します。

そのあと神職や関係者を招いた「直会(なおらい)」という宴を開きます。(直会の内容は地域により異なります)

以上で「神葬祭」は終了です。

このあとは「霊祭(れいさい)」として行われます。

 

6-3.「霊祭(れいさい)」の流れ

〈翌日祭〉

葬儀が終了したことを祖先(お墓や霊璽)に報告します。

このあと「十日祭」「二十日祭」「三十日祭」「四十日祭」と10日ごとに神職や関係者を招いて、祭詞奉上や「玉串奉奠」などの祭儀が行われます。

〈五十日祭〉

「神道」においては、一般的には五十日祭で忌明けとなります。(仏式葬儀の四十九日に相当します)

清祓(きよはらい)を翌日に行い、神棚や祖霊舎に貼った白い紙を剥がして、お祀りを再開します。

○その後の祭儀

百日祭のあとは「式年祭」(一年祭・三年祭・五年祭・十年祭・五十年祭)を執り行います。

*儀式については、地域で異なる場合があり、また簡略化されることもあります。

執り行う場合は、地元の神社、葬儀業者にご確認ください。

*「お盆」は仏教の儀式ですが、「神道」でも「祖霊祭」を行う地域もあるようです。

 

6-4.香典や焼香はどうするの?

○香典の表書きと注意点

「神葬祭」の香典の表書きは「御玉串料」「御榊料」「御霊前」で、不祝儀袋は白無地に結びきり水引(白黒か白)を使用します。

【注意】蓮の絵柄が入ったものなどは仏式用なので使用できません。

○神職へのお礼の表書き

「御祭祀料」「御礼」などとします。

【注意】「お布施」は仏教に由来するものなので使えません。

 

6-5.参列のマナーと注意点

○数珠は使用しない

数珠は仏教に由来するものなので、「神葬祭」では使用しません。

○服装

喪服を着用し、その他のマナーも一般的な葬儀と同じです。

○挨拶で注意すること

「冥福を祈る」とか「成仏を願う」、「供養する」などの言葉は仏教の考え方からくる仏教用語です。

神道では「死」に対してそのような考え方をしないので、ご挨拶では「御霊のご平安を心よりご祈念いたします」等の言葉をおかけしましょう。

7.神社へ謝礼をするときに注意すべき3つのこと


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「神道」において、各種儀式を執り行っていただいた謝礼には、代表的なものに「初穂料」と「玉串料」(または「御礼」)があります。

「初穂料」と「玉串料」はどう違うのか、また使い分けのなど、どこに注意すれば良いのでしょうか?

 

7-1.シーンによって異なるご祈祷料-(1)「初穂料」

「神道」における各種お祝いの儀式(お宮参りや七五三など)や結婚式、地鎮祭や厄除けなどの祈祷について、またお守りやお札をいただく際などに神社へ納める御礼としての表書きは「初穂料」となります。

「初穂」とは、その年初めて収穫された稲などの農作物のことで、神様への捧げ物として奉納されてきたことから、その供物の代わりとして捧げる金銭を「初穂料」と言います。

 

7-2.シーンによって異なるご祈祷料-(2)「玉串料」

「神道」における各種お祝いの儀式(お宮参りや七五三など)の他、結婚式、地鎮祭や厄除けなどの祈祷、通夜祭の儀や葬場祭の儀などの場合は「玉串料」と表書きをします。

(神社に対する御礼の他、通夜祭や葬場祭の参列者の香典の表書きにも用いられます)  

7-3.使い分けに注意する

○「表書き」には明確な使い分けがありますので注意しましょう

・「玉串料」はお祝い事のほか「不祝儀」に係る表書きにも使えます

・「玉串料」はお守りやお札をいただく時には使いません

・「初穂料」は不祝儀では使いません

8.まとめ


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私たちが日常の中で、あたりまえのように接している儀式の多くは「神道」の神事でした。

その神事は、お葬式や法要、お祝い事、お願い事、お祓いなどの祈祷など、多岐に渡っています。

・「玉串奉奠」とは、神様へ「玉串」を奉って拝礼する「神様とひとの心、魂を結ぶ」重要な「神道」の神事です。

・「玉串」は神様の「依り代」であり、「榊」の枝葉と紙垂でつくられています。

・「玉串奉奠」が行われる「神道」は、日本古来からある宗教(信仰)ですが、宗教というよりは日本人の生活の中に根ざした、なじみの深いものと言えるでしょう。(祭りの起源や神話・言い伝えや、身近な神様など)  

・さまざまな「神道」の儀式で行われる「玉串奉奠」ですが、その作法は同じ。

しかし慶事と弔事では拍手の仕方に違いがあるので(慶事:柏手、弔事:しのび手)弔事の場合は音を立てないよう注意しましょう。

・神道のお葬式「神葬祭」には、仏教葬儀と全く違う死生観や作法があり、焼香の代わりに「玉串奉奠」が行われます。

  「玉串奉奠」は、目には見えない神様と人の結びつきを、目に見えるように体感できるように行う儀式と言えるかもしれません。

「神道」の儀式に参列する機会があれば、その荘厳な雰囲気を体感できることと思います。