日本の葬儀のほとんどは、仏式葬儀です。

いわゆるお坊さんにお経を読んでもらって、参列者が焼香をする、よくあるお葬式です。

けれど数は少ないものの、神道にのっとった葬儀、神式葬儀というものがあります。

特に最近、神式で葬儀をすると言うことが、以前よりも増えています。


神式の葬儀は仏式とはかなり違っており、戸惑うことも多くあるかもしれません。

何より一番違っているのが、神式葬儀では焼香しないと言うことです。

焼香はしませんが、かわりに行われるのが「玉串奉奠」です。

この「玉串奉奠」とはどんなことなのか、その意味や作法を解説します。


-- この記事の目次 --

1.玉串奉奠の作法とその意味

2.神式葬儀の流れと玉串奉奠の作法

3.通夜祭までの玉串奉奠の作法

4.通夜祭での玉串奉奠の作法

5.葬場祭での玉串奉奠の作法

6.霊祭での玉串奉奠の作法

7.参列する側の玉串奉奠の作法

まとめ

1.玉串奉奠の作法とその意味


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参列したことのある人は少ないかもしれませんが、神式の葬儀はけっこう行われています。

僧侶の読経ではなく、神官が祝詞をあげ、焼香して拝むのではなく、玉串を祭壇に供えて拝礼します。

そもそも玉串とは何なのか、どんな意味があるものなのでしょうか?  

1-1.神式葬儀と玉串奉奠

玉串奉奠は「たまぐしほうてん」と読みます。

奉奠(ほうてん)とは、「うやうやしく捧げる」という意味になります。

おそらく神道の行事についてしか、この言葉が使われることは少ないかと思います。

実はこの玉串奉奠は戦前の言葉だったりします。

神道の行事では、葬儀に限らず玉串を奉奠しますが、現代の神職はこれを「玉串を奉りて拝礼」と言うそうです。

そのうち玉串奉奠と言う言葉は、あまり使われなくなるかもしれません。

神式葬儀の際には、神饌と言ういろいろな供え物を、用意して祭壇に飾ります。

玉串も供え物の1つなのですが、人が心を込めて奉奠することで、特別な意味を持つとされています。

仏式葬儀で冥福を祈って焼香するように、神式葬儀では神に対する畏敬の念を込めて、玉串を供えて拝礼するのです。

 

1-2.玉串とは

玉串という言葉の意味にはいろいろ説がありますが、玉串そのものは榊の枝に白い紙のピラピラを付けたものです。

神社で神主さんがお祓いをする時、白い紙がいっぱい付いたものを振りますよね?

あの白い紙を紙垂(しで)と言いますが、榊の枝に紙垂を付けたものを玉串と言います。

榊と言うのは、字の通り、日本では神様に捧げる木とされています。

何しろ最古の記録は古事記に出てきますから、太古の昔から神様の木とされており、榊の字が当てられているのです。

神道では花を供えることは少なく、基本は神棚にも御霊舎(仏教で言う仏壇)にも、お墓にも榊を供えます。

紙垂は古くは木綿(ゆう)を使いましたが、現代では白い紙を使うのが一般的です。

この紙垂には邪を祓う力があるとされています。

これまた最古の記録は古事記ですから、玉串には記録だけでも1,300年以上の歴史があるのです。

 

1-3.玉串奉奠の作法の意味

玉串は、葬儀に限らず、あらゆる神事で奉奠されます。

お祭りや結婚式や、地鎮祭などでも使われます。

仏教で香を捧げるのと同じように、神道では玉串を捧げるのです。

大昔から、榊の木は神の依代(よりしろ)=神様が降りてくるものとして、特別な木とされていました。

庭木に榊を植えている場合もありますが、こちらはあくまで庭木です。

神のおいでになる場所で使われて初めて、榊は依代の意味を持ちます。

そのため玉串を奉奠する際には、かなり厳格な作法が決まっています。

神道にもいろいろな流派があるのですが、玉串奉奠の作法については、あまり違いは無いようです。

ただ玉串を奉奠した後の拝礼の仕方に、地域ごとや教派ごとの違いがあったりします。

神式葬儀を営むにあたって、一般的な拝礼で良いのか、地方や神社によって違うのか、きちんと確認しておきましょう。

玉串奉奠とは、ただ玉串を供えるだけではなく、神に「奉って拝礼」するところまでが作法なのです。

2.神式葬儀の流れと玉串奉奠の作法


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神式葬儀には、仏式葬儀とはかなり違うことがいろいろあります。

その都度、玉串奉奠をしますが、玉串奉奠の作法自体は同じです。

流派によって違いがある場合もありますが、神式葬儀の大まかな流れはさしてかわりません。

一番一般的なやり方として、葬儀の流れと具体的な玉串奉奠の作法について、ご説明します。

 

2-1.神式葬儀全体の流れ

神式葬儀には独特の手順があり、それぞれに名前が付いています。

寺と違って、神社では葬儀は行われません。

そのため通夜祭の前から葬場祭まで、すべては自宅か斎場でのことになります。

 

(1)帰幽奉告から納棺の儀

家族が亡くなったあと、神棚や祖霊舎(神道における仏壇のようなもの)に、その死を奉告し、白い紙を貼ります。

祭壇を設けて、米や水や酒などを供え、納棺します。

納棺の際に拝礼のみの場合と、玉串奉奠を行う場合があります。

 

(2)通夜祭

仏式葬儀の通夜にあたるものです。

この時に、玉串奉奠が行われます。

神職の祭詞により、故人の御霊を霊璽(れいじ)という、仏教でいう位牌のようなものに移します。

 

(3)葬場祭

仏式葬儀の葬儀に当たります。

ここでも玉串奉奠が行われます。

仏式葬儀と流れ自体は似ていて、読経のかわりにお祓いや祭詞の奏上があります。

 

(4)火葬祭

故人を火葬する儀式です。

ここでも玉串奉奠が行われます。

火葬祭のあとは埋葬祭や帰家祭となります。

 

(5)御霊祭・祖霊祭

仏式葬儀での法要にあたります。

ここでも玉串奉奠が行われます。

仏式の法要と同様、霊祭の規模や参加人数については、各家庭で決めてかまいません。

 

2-2.手水(ちょうず)の儀

玉串奉奠の前に、まず行う大事な作法が手水の儀です。

どこの神社にも、境内に入ってすぐに、参拝者が手を洗う場所がありますよね? あれは手と口を浄めてから、神様にお参りするためのものです。

神式葬儀でも、儀式の前には手と口を浄める必要があるのです。

通夜祭や葬場祭では、遺族だけではなく参列者も、手水の儀を行ってから式場に入ります。

自宅であれ斎場であれ、水をいれたバケツと柄杓を、受付や入口のそばに準備しておきます。

手順は神社をお参りする時と同じです。

1.右手で柄杓に水を汲み、左手に水をかける

2.柄杓を左手に持ち替え、右手に水をかける

3.柄杓を右手を持ち替え、左手に水をためて口を漱ぐ

4.左手に水をかける

5.柄杓の柄に残った水を伝わらせるように流して、柄杓を戻す

6.タオルや懐紙が用意されていればそれで手や口を拭く、なければ自分のハンカチなどを使う  

上記の手順を、最初にすくった1杯の水で行います。

口を漱ぐのは音を立てず、軽く水を含む程度にします。

水を吐く時は口元を手で隠します。

神式葬儀で、水と柄杓が用意されていないことはまず無いかと思いますが、用意がなければ仕方ありません。

けれど用意されているのであれば、必ず手水の儀を行ってから式場に入ってください。

 

2-3.玉串奉奠の作法と具体的なやり方

玉串を奉奠するにも、手順が決まっています。

特に難しいことではないのですが、緊張していると難しく感じるかもしれません。

焦らなくてよいので、ゆっくりと行いましょう。

1.順番に従って祭壇に進み、遺族であれば参列者に、参列者であれば遺族に一礼する

2.神官もしくは担当者に一礼して玉串を受け取る、この時右手は上から枝を持ち、左手は葉の下に添えるように、両手で受け取る

3.玉串を受け取った形のまま胸の高さに捧げ持ち、玉串を置く台の前まで進み、軽く一礼する

4.玉串の枝先を自分の方に向け、左手を枝の下に、右手を葉先に持ち替える

5.そのまま時計回りに玉串の枝が祭壇を向くようにまわす

6.玉串を台の上に置き、少し下がる

7.二礼二拍手一礼をしのび手で行い、神官や遺族に軽く一礼して席に戻る  

玉串は必ず、枝が祭壇の方に向くように置きます。

そして絶対に音を立てて拍手をしてはなりません。

神式葬儀の場では、二拍手はすべてしのび手という、音を立てない拍手で行います。

3.通夜祭までの玉串奉奠の作法


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神式葬儀の場合、通夜祭までにもいろいろとすべきことがあります。

仏式葬儀でも枕経や湯灌などがありますが、神式葬儀にもそういったことがあるのです。

 

3-1.通夜祭までの流れ

家族が亡くなった場合、神式葬儀でまずすべきは帰幽奉告です。

これは自宅の神棚や御霊舎に、故人が亡くなった=帰幽したことを奉告することです。

奉告のあとは、神棚や御霊舎の扉を閉じ、半紙のような白い紙を貼ります。

この後枕直しの儀や納棺の儀がありますが、葬儀を行うのが自宅か葬祭場かで少し違ってきます。

こういったことは、おそらく神式葬儀に詳しい葬儀社が担当してくれます。

納棺の儀が終わったあと、棺に向かって拝礼します。

仏教では寺で葬儀ができますが、神道では神社は聖域となり、葬儀は別の場所になります。

神社の側に会館などがある場合は、そこで葬儀ができることもありますが、基本は自宅か葬斎場になります。

始めて神式葬儀を行う場合、こういったことも考慮しておきましょう。

 

3-2.通夜祭までの玉串奉奠の作法

納棺の儀の後に、その場にいる家族のみで、玉串奉奠を行うことがあります。

これはただ拝礼のみの場合もあり、玉串奉奠をするかしないかは、その地域や担当する神職の考え方にもよります。

どちらが正しいと言うわけではありません。

玉串を奉奠するのであれば、作法や手順はすべて同じです。

拝礼のみであれ、玉串を奉奠するのであれ、手水の儀を済ませてからが望ましいでしょう。

家族を亡くして通夜や葬儀の準備をするのは、その時にならなければ気持ちがわかりません。

慌ただしく、悲しく、大変ではありますが、できるだけ作法に則って、準備を進めていきましょう。

細かいことやわからないことは、担当してくれる葬儀社や、神職に相談するのが一番です。

 

3-3.通夜祭までに注意すること

帰幽奉告を行なった時から、拝礼の際の二拍手は、すべてしのび手になります。

このしのび手は、葬場祭のあと、御霊祭で忌明けとなるまで続きます。

一般的な神道の作法では、二礼二拍手一礼が、拝礼の形です。

教派によって違う場合もありますので、わからないのであれば、葬儀社や神職に確認しておきましょう。

この時の拝礼の仕方が、通夜祭でも葬場祭でも続いていき、その後もずっと続いていくのです。

神棚や御霊舎は、帰幽奉告のあとは、忌明けまで白い紙を貼ったままになります。

普段お水を供えたり榊を飾ったりしていても、忌明けまでそのままお世話はしません。

葬儀が終わったからと、紙をはがしたりしないよう、注意してください。

4.通夜祭での玉串奉奠の作法


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通夜祭は、仏式葬儀の通夜と同じく、夕方から始まるのが一般的です。

けれど神式葬儀の通夜祭と、仏式葬儀の通夜は、似ていますがやはり違うものです。

神式葬儀の通夜祭の意味と、流れについてご説明します。

 

4-1.通夜祭とは

通夜祭とは、仏式葬儀の通夜にあたるものです。

神式葬儀では、通夜祭での遷霊の儀をもって、故人の魂は神になるとされています。

もともと人は神の世からこの世に送り出され、亡くなればまた神の世に帰っていくと言うのが、神道の考え方だからです。

神といっても古くから神社に祀られているような、古来からの神になるのとは違って、家で祀られる祖霊神となります。

通夜祭で神職によって霊璽に魂が遷され、この時から故人は家を守る神となるのです。

神道の神は、祀られることによって力を増し、より立派な神になっていきます。

祖霊神として大切に祀ることで、故人の神はより強く家や家族を守ってくれるようになると言うのが、神道の祖霊神の在り方です。

そのため通夜祭の玉串奉奠は、故人を悼むという面と、新しく生まれた神を敬うという、2つの側面があります。

 

4-2.通夜祭の流れ

通夜祭は仏式葬儀の通夜と同じく、夕方から始まります。

喪主を始めとした親族が着席し、参列者が入ってきます。

神職が式場に入ってくるところから、通夜祭が始まります。

最初に修祓の儀と言うお祓いがあり、その後祭主に合わせて深く一礼します。

式場を暗くし、神職によって故人の魂が霊璽に遷されます。

その間は全員が低頭して拝礼します。

灯りを付けてお供え物を整え、祭詞が奏上されます。

続いて玉串奉奠となります。

その後撤饌の儀という儀式で、お供え物を下げることがあります。

これは供えてある物を片づけるのではなく、瓶子(へいし)と水器(すいき)の蓋をすることで、下げるという意味になります。

最後に全員が起立し、祭主に合わせて深く一礼します。

神職が退出し、閉式となります。

喪主の挨拶などがある場合もあります。

仏式葬儀で言う通夜ぶるまいは、神式葬儀では直会(なおらい)と言います。

直会があるならばそちらに移動し、直会終了をもって通夜祭も終了となります。

以上が大まかな流れですが、地域によっても神社によっても、細かい部分は違います。

 

4-3.通夜祭での玉串奉奠の作法

通夜祭での玉串奉奠は、作法や手順は2章で説明したのと同じです。

まず祭主である神職が玉串を奉奠し、次に喪主、故人に近い遺族親族が続き、一般の参列者が続きます。

間違えることは無いと思いますが、神式葬儀では数珠は使いません。

手を合わせて拝むといったことも、基本的にはありません。

神道の拝礼の作法は、礼であり拍手です。

礼の回数や拍手の回数は、地域や神社によって違いますので、きちんと確認しておきます。

その上で、決められた回数の礼をし、決められた回数の拍手を、しのび手で打ちます。

5.葬場祭での玉串奉奠の作法


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通夜祭の翌日、今度は葬場祭となります。

これは仏式葬儀で言う葬儀と同じです。

よく「葬儀・告別式」と書かれていますが、告別式は宗教に関係なく、故人にお別れをする式といった意味になります。

そのため神式葬儀の告知の仕方も、「葬場祭・告別式」とされることもあります。

 

5-1.葬場祭とは

通夜祭が故人の魂を神とする儀式なら、葬場祭は故人の亡骸を見送って荼毘に付し、お別れをする儀式になります。

仏式の葬儀と流れは似ていますが、やることはかなり違います。

仏式葬儀同様、午前中に行われて1時間ほどで終了します。

葬場祭の後に出棺の儀があり、火葬祭と続き、埋葬する場合は埋葬祭となります。

かつての神式葬儀では、その日のうちに火葬して埋葬まで済ませることが普通でした。

現代は埋葬は後日という場合のほうが増えています。

埋葬祭が後日であれば、火葬祭の後に遺骨は家に持ち帰ります。

そこで帰家祭があり、最後に直会となります。

葬場祭後の直会の終了をもって、神式葬儀=神葬祭のいっさいが終了となります。

 

5-2.葬場祭の流れ

あくまで1例で、地域や教派によって微妙に変わりますから、その点は注意してください。

葬場祭は午前中に行われます。

喪主・遺族・参列者が着席し、斎主である神職が入場して、葬場祭が始まります。

通夜祭と同じく、最初に修祓の儀と言うお祓いがあります。

その後、全員起立して祭主に合わせて深く一礼します。

通夜祭で下げた神饌の瓶子と水器の蓋を取り、あらためてお供えをします。

神職による祭詞の奏上があります。

弔辞や弔電などがあれば、ここで披露されます。

続いて玉串が奉奠されます。

お供えを下げる撤饌の儀があり、その後祭主に合わせて全員で起立し、深く一礼します。

祭主が退場し、ここで葬場祭は終了となります。

その後は告別式となり、故人に縁の近い人から故人に花を手向けます。

火葬場で火葬祭が行われ、遺族親族による玉串奉奠があります。

そのまま埋葬する場合は埋葬祭がありますが、遺骨をいったん持ち帰る場合は、霊璽とともに自宅で飾られ、帰家祭が行なわれます。

帰家祭の後、祭主により葬儀終了の奉告があり、祭主をはじめとする玉串奉奠を行なって全般が終了します。

 

5-3.葬場祭での玉串奉奠の作法

葬場祭での玉串奉奠も、作法や手順は同じです。

祭主、喪主、遺族親族の順に玉串を奉奠し、その後に参列者が続きます。

拝礼の際は当然しのび手です。

火葬祭で玉串を奉奠するのは、仏式葬儀で火葬の前に焼香するのと似ています。

できれば火葬祭での玉串奉奠の前に、手水の儀を行いましょう。

葬場祭の前に一度行っていると思いますが、火葬祭の前にもう一度やることが望ましいです。

火葬祭の後に、帰家祭となりますが、ここでも手水の儀が行われ、玉串奉奠があります。

帰家祭をもって神式葬儀は終了となり、その後は直会になります。

帰家祭の後に霊祭を行う場合もありますが、どこまで済ませるかは、地域性が大きいです。

6.霊祭での玉串奉奠の作法


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霊祭は、仏式葬儀で言う法要に当たります。

仏式葬儀とは日数も年数も違います。

霊祭と玉串奉奠についてご説明します。

 

6-1.霊祭とは

仏式葬儀に初七日や四十九日、一周忌などの法要があるように、神式葬儀にも霊祭があります。

神式葬儀ではまず十日祭があり、その後は二十日祭、三十日祭と、十日ごとに御霊祭が行われます。

ただし近年は十日祭のあと、五十日祭まで御霊祭をしないことが増えています。

五十日祭もしくは百日祭をもって、忌明けとすることが多いようです。

仏式葬儀で言う四十九日の忌明けにあたります。

葬儀の折に玉串料などをいただいた場合は、この忌明けの際にお返しをします。

忌明けまでを御霊祭と言い、その後の霊祭は祖霊祭または式年祭と言います。

祖霊祭(式年祭)は一年祭三年祭となり、五年祭十年祭二十年祭と続いていきます。

仏式葬儀と違い、三年祭は3年後、五年祭は5年後に行われ、それぞれの年数にあった年に霊祭が行われます。

神道では、お祀りするごとに神の力が増すとされています。

何年祭までやるかは仏式葬儀と同じく各家庭によりますが、最終的には誰それの神と言うより、ご先祖様全体といった祀り方になります。

 

6-2.霊祭での玉串奉奠の作法

それぞれの霊祭の前に、必ず手水の儀を行って浄めます。

その後の玉串奉奠は、作法も手順も通夜祭や葬場祭と同じです。

ただ霊祭は、それまでと大きく違うことがあります。

五十日祭をもって忌明けとすることが多いのですが、これは百日祭であっても一年祭であってもかまいません。

五十日祭で忌明けとするのであれば、この時から拍手はしのび手でなくなるのです。

それまでしのび手であった拍手を、まず喪主が音を立てて打ちます。

その後に遺族親族などが続きますが、喪主にならって音を立てて拍手を打ちます。

それまで神棚や祖霊舎を封じていた白い紙を取り、通常のお祀りを再開します。

埋葬祭はいつと決まっていませんが、忌明けと同時に行う場合が多いようです。

お墓を新しく作るようならば、五十日ではなかなか決められないこともあるかもしれません。

そんな場合は、特に五十日祭や忌明けにこだわる必要はありません。

埋葬祭は神職に来ていただくことになります。

この時にも、玉串奉奠が行われます。

神道での玉串奉奠は、神職をお願いするどんな行事の場合も、たいていあると思っておくと良いです。

 

6-3.霊祭で注意すること

忌明けをもって、しのび手は終わりますが、他の作法はかわりません。

そして玉串奉奠と手水の儀は、必ずセットになっていることも、忘れないようにしてください。

神職にお願いして祭祀を行う時は玉串奉奠がありますが、日常のお祀りではありません。

これは、普段の仏壇に線香を供えることはあっても、毎日焼香をしないのと同じようなものです。

普段のお祀りには榊の枝を供え、玉串奉奠は法要の時のみと言うことになります。

忌明け後に、葬儀の際に頂いた玉串料などのお返しをします。

仏式葬儀で言う香典返しですが、神道では香典返しと言う言葉は使いません。

お返しの表書きは、「偲び草」とすることが多いようです。

7.参列する側の玉串奉奠の作法


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神式葬儀は、仏式葬儀の次に多い、葬儀の形ではあります。

けれど圧倒的に数には差があります。

神式葬儀の多い地方へ、他の地方から越してきた場合など、まったく初めてと言うこともあるでしょう。

できるだけ失礼の無いように、参列者側の作法についてもご説明します。

 

7-1.玉串料と玉串奉奠の違い

一般の参列者が玉串奉奠を行うのは、おそらく通夜祭か葬場祭のみになるかと思います。

仏式の葬儀であれば、どちらかに参列する時点で、香典を包むことが多いでしょう。

神式葬儀では、香典のかわりに玉串料を包みます。

玉串料は、「御榊料」「御神前」とも表書きされます。

つまり玉串のかわりではなく、香典のかわりなのです。

玉串奉奠をするから、玉串料はいらないということではありません。

玉串奉奠=焼香、玉串料=御香典ということです。

間違えて手ぶらで参列しないように、注意しましょう。

 

7-2.玉串奉奠の作法と注意

一般の参列者も、玉串奉奠の作法や手順は同じです。

2章での記述どおり、まず最初に手水の儀を必ず行います。

自宅葬であれば玄関先に、葬祭場であれば受付のそばや入口に、バケツと柄杓が用意されていると思います。

葬儀社の方がそばについていて、細かく教えてもらえたり、作法や手順を印刷した紙が配られることもあります。

ただ神式葬儀が一般的な地域では、すでに当たり前のこととして、教えてもらえないかもしれません。

いずれにしても地域や流派によって、微妙に違うこともありますので、できれば事前に確認しておきたいものです。

玉串奉奠の作法については、おそらく地域や流派による違いはありません。

けれど拝礼の仕方は、地域や流派によってかわります。

祭主から始まる玉串奉奠のやり方をしっかり見て、礼の数や拍手の数など、よく覚えておきましょう。

 

7-3.玉串奉奠の作法と服装や持ち物

神式葬儀に参列するのに、服装は仏式の葬儀とかわりません。

黒の礼服、靴下やストッキング、バッグなどの持ち物も黒で揃えます。

アクセサリーは真珠かジェットのネックレス程度で、結婚指輪など以外は、極力抑えるのが礼儀です。

神式葬儀ならではの、特別な服装や持ち物はありません。

ただし焼香と違って玉串を奉奠するので、枝が引っ掛かりやすいような服装は、避けた方が無難です。

女性の場合、袖口のレースなどには注意した方がいいでしょう。

仏式葬儀で言う香典を用意するのであれば、表書きは「玉串料」「御榊料」「御神前」などが、神道式の書き方です。

「御霊前」は仏式葬儀でも使いますが、神式葬儀でも使えます。

水引は白または双銀、もしくは白黒のあわび結びとされています。

気を付けたいのは、封筒を使う場合、蓮の花などが印刷されたものがありますよね?

あれは仏式葬儀にのみ使うものです。

蓮は仏教の花であり、神式葬儀に使うのは少々問題があります。

 

7-4.絶対ダメ!なマナー違反

神道では、神の前での穢れを大変に嫌います。

そのため神前に出る前に、必ず手と口を浄めます。

神社の鳥居をくぐれば、まず最初に手水舎があるのは、そのためです。

神式葬儀に参列するのであれば、必ず手水の儀を済ませましょう。

よほどの事情があれば別ですが、好きか嫌いか程度であれば、それはやめる理由にはなりません。

玉串奉奠の際に、しのび手で行うのもほぼ絶対です。

もしかしたら、最初から音を立てて拍手を打つ地域や流派があるかもしれません。

その場合は祭主や喪主にならってください。

けれどたいていの神式葬儀では、基本はしのび手です。

うっかり音を立ててしまわないように、気を付けて拝礼しましょう。

神道では手を合わせて拝むことはないと、言われることもあります。

実は合掌自体は、そんなにマナー違反ではありません。

拝礼の際に、合掌する地域や流派があっても、おかしいことではないのです。

それでも基本は礼であり拍手であるので、祭主がそうしているのでない限り、合掌しないに越したことはありません。

仏式葬儀になれていると、ついうっかり手を合わせてしまいそうになります。

決定的な間違いではありませんが、周囲に合わせるべきことではあります。

仏式葬儀にしか出たことがない場合、うっかり数珠を持ってきてしまうかもしれません。

持ってきたものは仕方ありませんが、バッグやポケットにしまって、表に出さないようにしましょう。

数珠は仏教のもの、明らかに神道とは違うものです。

まとめ


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最近になって、神式の葬儀が増えてきているそうです。

理由はいろいろありますが、仏式葬儀に比べて、戒名料がいらないという点が、クローズアップされています。

もともと葬儀は神式で行うのが一般的な地域もあり、今後はさして珍しいことではなくなっていくかもしれません。

もしも家族が神式の葬儀を望んだり、親しい人の葬儀が神式であったりしたら、まずわからないのは玉串奉奠などの作法でしょう。

常識であるとは思いませんが、知っておきたいことではないでしょうか。

この記事が皆様のお役に立てばと思います。